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宇宙の贈り物 / アキラ 1

AIショートショート

アキラは、国際宇宙ステーションに到着して3ヶ月が経っていた。地球の青い姿を眺めながら、彼は日々の任務をこなしていた。
ある日、アキラは宇宙空間に出て、ステーションの修理作業を行っていた。慣れた手つきで作業を進めていると、突然、警報が鳴り響いた。
「緊急事態発生。全員直ちに内部に戻れ」
アキラは慌てて作業を中断し、ステーションに戻ろうとした。しかし、彼の宇宙服に異変が起きた。推進装置が故障したのだ。
アキラは必死に手を伸ばしたが、ステーションはどんどん遠ざかっていく。彼は宇宙空間に取り残されてしまった。


通信機を通じて、地上管制センターと連絡を取る。
「こちらアキラ。推進装置が故障。ステーションに戻れない」
地上からの返事は冷静だったが、その声には緊張が滲んでいた。
「了解、アキラ。救助方法を検討中。酸素残量を確認してくれ」
アキラは宇宙服の計器を確認した。酸素は残り6時間分。それまでに救助が来なければ…。
時間が過ぎていく。アキラの心臓の鼓動が聞こえるほどの静寂の中、彼は地球を見つめていた。
美しい青い惑星。そこには家族や友人、そして彼の人生のすべてがあった。もう二度と戻れないのだろうか。
5時間が経過。救助の見込みは薄くなっていた。アキラは諦めかけていた。
そのとき、彼の目に奇妙な光が飛び込んできた。最初は流れ星かと思ったが、その光は次第に大きくなり、アキラに近づいてきた。
それは、地球外知的生命体の宇宙船だった。


船内から、人型の生命体が現れた。彼らは不思議な機械を操作し、アキラを安全に船内に引き込んだ。
アキラは驚きのあまり言葉を失った。彼らは地球の言語を理解するようで、アキラに語りかけてきた。
「我々は銀河の平和を守る巡回員だ。危険な状況にある生命体を助けるのが仕事なんだよ」
アキラは困惑しながらも、感謝の言葉を述べた。しかし、同時に不安も感じていた。この後どうなるのだろう。
異星人は親切にアキラの状況を聞き、地球に送り返すことを約束した。しかし、そこには条件があった。
「我々の存在を誰にも明かしてはいけない。地球の人類はまだファーストコンタクトの準備ができていないからね」
アキラは迷った。この驚くべき出来事を誰にも話せないなんて。しかし、地球に戻れるなら…。
彼は条件を飲むことにした。
異星人の宇宙船は、驚くべきスピードで地球に向かった。わずか数分で地球の軌道に到達した。
彼らは巧みな技術で、アキラをこっそりと国際宇宙ステーションの近くに送り届けた。

ステーションのクルーは、突如として現れたアキラを見て驚愕した。彼らの目には、まるで奇跡のように映ったに違いない。
地上の管制センターも大騒ぎだった。
「アキラ!無事だったのか。一体どうやって…」
アキラは約束を守り、真実を語らなかった。
「推進装置が突然復旧して…運良く戻れました」
その後の調査でも、アキラの奇跡的な生還の真相は明らかにならなかった。
数ヶ月後、アキラは地球に帰還した。英雄として歓迎されたが、彼の心には秘密を抱えたままだった。
ある夜、アキラは自宅の庭で星空を見上げていた。そこに、あの時と同じ光が現れた。
異星人が再び現れ、アキラに語りかけた。
「よく約束を守ってくれた。その報酬として、特別な提案がある」
彼らは、アキラに銀河の平和を守る仲間になることを持ちかけた。地球の代表として、宇宙の秩序維持に貢献できるというのだ。
アキラは深く考え込んだ。地球での生活を捨て、未知の宇宙に飛び込むことになる。しかし、そこには人類がまだ見ぬ驚異と可能性が広がっているのだ。
彼は決心した。
「行きます。人類のために、宇宙のために」
アキラは家族に「再び宇宙に行ってくる」とだけ告げ、静かに姿を消した。
世間では、英雄的宇宙飛行士の失踪として大きなニュースになった。
しかし、誰も本当の真相は知らない。アキラが今もなお、はるか彼方の銀河で、地球と宇宙の平和のために活躍していることを。
時々、夜空に不思議な光を見かけたら、それはもしかしたらアキラからのメッセージかもしれない。
「心配するな。僕は元気だ。いつかきっと、素晴らしい宇宙の物語を携えて帰ってくる」
そんな思いを込めて、アキラは今日も銀河の彼方へと飛び立っていく。
人類の新たな章が、静かに、しかし確実に幕を開けていたのだ。

「銀河の守護者 / アキラ 2」へ続く

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